議会報告>平成26年定例会>6月定例会質問市の返答

◆9番(金井文敏君) それでは、お許しをいただきましたので、通告の順序に従い、2項目4点について質問させていただきます。  まず最初に、障がいのある子供の就学手続と早期からの一貫した支援の充実についてです。  インクルーシブ教育とは、1994年6月にサラマンカ宣言で「万人のための教育」と言われ、次の5原則に分けられました。  1.全ての子供は誰であれ、教育を受ける基本的権利を持ち、また受容できる学習レベルに到達し、かつ維持する機会が与えられねばならず、2.全ての子供は、ユニークな特性、感心、能力及び学習のニーズを持っており、3.教育システムは極めて多様なこうした特性やニーズを考慮に入れて計画・立案され、教育計画が実施されなければならず、4.特別な教育的ニーズを持つ子供たちのニーズに合致できる教育学の枠内で調整する通常の学校にアクセスしなければならず、5.このインクルーシブ志向を持つ通常の学校こそ、差別的態度と闘い、全ての人を喜んで受け入れる地域社会をつくり上げ、インクルーシブ社会を築き上げ、万人のための教育を提供し、全教育システムの効率を高め、ついには費用対効果の高いものとするとあります。  私がかかわった市民相談の声です。  小さいころから無口でおとなしかったので、手間のかからない子だと思っていたら、中学校に入り、家庭内暴力、リストカットなどをするようになり、乱れた生活が始まりました。精神科に受診したら、自閉症だと診断されたとのこと。いろいろな医者を回りましたが、最初はわからなかったそうです。その子の症状を早いうちに診断できていれば、この子の状況に合わせた指導ができたのではないかと言われました。  また、50代の男性は、派遣労働で自動車関係の職場で長年働いてみえましたが、派遣切りに遭い、職を失いました。読み書きに支障があり、運転免許もありませんでしたので、現在は生活弱者です。  経済的な自立が困難になると、生活支援、援護につながります。そこに至るまでの要因は幾つもありますが、義務教育課程の中での過ごし方は、その後の人生に多大な影響を与えます。  子供が生まれてから五、六年で、義務教育である小学校の入学を決めなければなりません。目まぐるしく変化していく子供と格闘しながらの入学の方向性は、大変に労力が要ります。  本市は、支援が必要な子供のための就学指導の手引を既に作成されています。あじさい子育て相談会も開催されております。小学校入学前のお子さんや小・中学校のお子さんの中で、体や心の発達に関することについてなど、悩みや気がかりのある家族の方を対象として行われています。子育てにおいて強力なサポートだと思います。我が子に何かしらの問題があるかもしれない場合は、どのように小学校に通わせればいいのか、また地元の学校に入学できるのか、保護者は大変に悩みます。何より子供自身は、地元の学校に今までのお友達と通うことを信じています。このような保護者が就学に関する相談にスムーズにたどり着き、なおかつ相談員と信頼関係をつくりながら、短期間でよりベストな結果を見出すためには、教育相談にかかわる担当者の力量が期待されるところです。  平成23年8月5日に改正障害者基本法が公布・施行され、障がい者がその年齢及び能力に応じ、かつその特性を踏まえた十分な教育が受けられるようにするため、障がい者である児童及び生徒並びにその保護者に対する十分な情報提供、人材の確保及び資質向上や適切な教材の提供などの環境の整備の促進、交流及び共同学習の積極的な推進を通じた相互理解の促進などについて規定されました。国は、特別支援教育平成25年度実施事業として、インクルーシブ教育システムの構築に向けて、専門支援員人材の配置、活用を推進しつつ、早期からの教育相談、支援体制の充実を上げています。  就学前にでも子供の障がい、もしくは障がいがあるかもしれない場合、学校は受け入れることを前提に、保護者と子供自身に対するメリット・デメリットの情報を共有し、これからの学校生活における協力体制を図ることによって、保護者と子供が安心して結論を導いていけます。障がいがあるからと分けるものではなく、地域の学校で障がいのない子供たちとともに学ぶことで、地域とのつながりや友達の力をかりることの大切さ、仲間意識の向上につながることになるのではないでしょうか。  そこで、2点についてお伺いします。  1点目、本市の取り組みの現状について、2点目、インクルーシブ、包括的教育についての御所見をお伺いします。  続きまして、2項目めは、スマートフォンを活用した公共サービスの提供についてです。  当市のホームページは、最近レイアウトなどを更新し、閲覧しやすくなるように努めてみえます。以前、議会で質問した文字の見やすさも簡単に変更できるようにボタンをつけられています。欲しい情報にアクセスしやすいように、トップページからのリンクを工夫されています。左サイドにあるナビゲーションも上部に緊急防災情報を配置し、情報をつかみやすくなっています。右のナビゲーションでは、本年は市制60周年ということで、公式ロゴマークを作成し、専用ページにて案内されています。市制60周年のキャッチフレーズも決定しました。「フレッシュみのかも未来へジャンプ!」です。せっかくつくったのですから、トップページでショルダーフレーズとして活用してほしいものです。  このパソコン版のホームページですが、タブレット端末で見る分には画面が大きいので何とか閲覧できますが、スマートフォンで見ようとするとほとんど実用性はありません。このページがスマホに適正化されていれば、見やすくなり、利用率は上がると思います。せっかくのサービスを用意しても、市民に情報が到達しなければ意味がありません。  最近導入がふえているレスポンシブウエブデザインを使って、スマートフォンに適正化して見やすくする方法があります。同じページをパソコンでもスマートフォンでも画面に適正化して閲覧できるのものです。  また、スマートフォン専用ページをつくるかですが、2つのウエブサイトをつくる必要がありますので、レスポンシブウエブデザインがコストパフォーマンスでまさると思います。  そこで、スマートフォンの国内の利用状況を調べてみました。  内閣府の調査によると、スマートフォンの普及率が上昇を続けており、ことし3月末のスマホの世帯普及率は54.7%、タブレット端末が20.9%、高校生から高齢者までの幅広い年代に行き渡りつつあります。  このように普及したスマートフォンを利用して、自治体が直面する課題解決に貢献し、地域住民にとって役立つスマートフォン用アプリ、またはウエブアプリを開発して、地域情報、観光、防災、健康、福祉等、地域の活性化や安全・安心に資するものとして、当市でもサービスを提供してはいかがでしょうか。  各自治体が思い思いのスマートフォン用アプリを作成して、住民サービスを向上させています。杉並区では、「なみすけのごみ出し達人」の配信を行っています。ごみ出し日お知らせ機能やごみの日カレンダー、捨てたいごみを検索すると分別方法がわかる「ごみ分別辞典」などの機能があります。これ以外でもアプリを活用した住民向けの行政サービスや観光誘致など、さまざまなアプリが開発されています。「すぐメールみのかも」の補完にもなりますし、災害時の避難場所の案内などにも活用できます。  スマートフォンのアプリのよいところは、先ほど述べたウエブサイトと違い、独自のプログラムで動くので、ブラウザの影響を受けないということです。画面構成が単純化できることと欲しい情報にアクセスしやすい点が上げられます。また、緊急情報などをスマートフォンのロック画面でも通知を表示させることができますので、緊急情報などを流すときに大変便利です。  また、美濃加茂市の知名度や好感度を上げるために、地域そのものを全国に売り込むシティープロモーションにも合致するのではないでしょうか。その一助になればと思います。  そこで、2点についてお伺いします。  1.本市のホームページの現状と課題について、2.専用アプリ開発についての御所見をお伺いします。  以上で質問を終わります。御清聴ありがとうございました。  (「議長」と呼ぶ者あり) ◎教育長(日比野安平君) 議員御質問のうち、私からはまず、障がいのある子供の就学手続と早期からの一貫した支援の充実についてお答えをいたします。  障がいがある新就学児童については、各保育園、幼稚園、カナリヤの家との連携を図り、就学指導資料の作成を依頼するとともに、学校教育課担当者が各園やカナリヤの家を訪問し、該当児童を観察することによって障がいの状況を把握しております。  学校教育課担当者は、年間40日余り、市内の保育園を訪問しております。年長児のクラスを訪問する際には、校区の小学校にも参観を呼びかけ、障がいの有無にかかわらず、新就学児童の実態を把握するようにしております。10月から11月に実施する就学児健診で知的なおくれや言語の障がいをつかむこともございます。  就学先の判定は、市の就学指導委員会が行っております。小・中学校の特別支援学級担任や可茂特別支援学校職員、医師、カナリヤの家職員等で構成される就学指導委員会判定部会が、各園で作成した指導資料や園での観察に基づいて仮判定を行います。就学指導委員会で協議し、本判定となります。その後、学校教育課担当者を中心に、該当園や小学校、必要に応じて特別支援学校の職員が保護者と話し合い、十分な情報提供を行い、教育的ニーズと必要な支援について合意形成を行った上で、保護者の希望を最大限尊重しつつ就学先を決めております。  通常学級に就学すべきか、あるいは特別支援学級や通級指導教室、特別支援学校へ就学すべきかについて保護者が悩みや不安を抱えている場合は、学校教育課担当者が随時相談に乗るほか、夏に各学校の特別支援学級担任や特別支援学校職員、カナリヤの家職員等によるあじさい子育て相談会を実施し、必要に応じて継続的な相談を行っております。  次に、インクルーシブ教育についての私の所見を申し述べさせていただきます。  障がいの有無にかかわらず、誰もが互いに支え合い、人々の多様なあり方を認め合える共生社会の構築を目指し、障がいのある児童・生徒が分け隔てなく障がいのない児童・生徒とともに学ぶことができるインクルーシブ教育が求められております。  現在、本市においては多様な学びの場が用意され、特別支援学級の子供が通常学級の子供とともに学ぶ交流学習や、特別支援学校の児童・生徒が地元の学校で学ぶ居住地校交流が行われております。  また、市の学校教育の方針と重点として、通常の学級においても、何らかの障がいのある子供にとってはないと困る支援であり、どの子にとってもあると便利な支援でありますといっております授業のユニバーサルデザイン化を進めております。片仮名でまことに恐縮ですが、なかなかきちっとしたいい日本語訳がないものですから、こういう名前でやっております。  インクルーシブ教育の推進は、今年度から実施する教育振興基本計画にも位置づけており、本市で取り組んでいる教育は、インクルーシブ教育の理念にのっとったものであると考えております。今後、教育のユニバーサルデザイン化や子供に寄り添った特別支援教育のあり方等の職員研修を実施するなど、インクルーシブ教育をさらに推進していきたいと考えております。  (「議長」と呼ぶ者あり) ◎経営企画部長(中嶋正典君) 私からは、スマートフォンを活用した公共サービスの提供についてお答えをいたします。  まず初めに、市のホームページの現状と課題についてでありますが、本市のホームページの最大の課題は、サーバーが庁舎内にあるため、災害時に閲覧不能となったり、情報の更新ができなくなったりする可能性があるということでございます。  また、スマートフォンが普及している中、スマートフォン専用のホームページが整備されていない現状もあります。  災害時への対応としましては、ことし7月中には、ホームページのクラウド化を完了し、課題が解決できる見通しであります。  また、スマートフォン対応としましては、県下21市で専用に整備されているのは岐阜市、関市、羽島市、各務原市、可児市の5市であります。本市は本年度中に、小規模ではありますが、ホームページのリニューアルの計画がありまして、その中でスマートフォン専用ページの整備も行う予定にしております。  次に、専用アプリ開発の考えについてでありますが、各自治体で提供されているアプリは、ごみ収集、観光・イベント情報、防災情報、道路破損情報収集など単一機能に特化した小規模なものが主体となっております。既に多くのアプリが開発され、サービスが提供されていますので、独自で開発するより、それらの既存サービスを活用し構築する手法が費用を抑えられると考えております。  各課の課題や需要について情報を収集・分析し、高い効果があると判断できれば導入を検討していきたいと考えておりますので、よろしくお願いをいたします。  (「議長」と呼ぶ者あり) ◆9番(金井文敏君) それぞれ、御答弁ありがとうございました。  数点再質問させていただきます。  まずインクルーシブ教育についてですが、障がいの有無によらず、誰もが地域の学校で一緒に学ぶことを原則とするインクルーシブ教育は、障がいのある人もない人も地域でともに学び、働き、暮らしていける共生社会をつくる上で大変重要だと考えます。小学校に入学してから成人になるまでは15年程度ですが、早ければ10年もたてば社会人になられる方もいます。その小学校の入学に向けてインクルーシブ教育を実施することにより、保護者にとって、またこれから子供を持たれる未来の保護者にとっても安心と希望になると思います。  そこで、入学前の検討と入学後の状況はということで、先ほど入学前の状況はお伺いしましたが、入学後の状況をお伺いします。  次に、就学児童の就学指導と親とのギャップもまた考えられるのではないかと思いますが、その点もお伺いします。  あと、障がい者を受け入れる体制、蜂屋小学校ではシャワー室をつくったりとかということもありましたが、そのような状況は今どうなっているのか、お伺いします。  スマートフォンを活用した公共サービスの提供については、今伺った内容で、今後スマホ用もつくられるということですが、先ほども申し上げましたが、1つのHTMLで両方見えるというレスポンシブウエブデザインというのもありますので、また検討もしてみてはどうかと思います。  今の行政システムには、市民目線が抜けている部分があるんじゃないかというふうに思われる部分があります。チラシや印刷物を市役所の窓口に置いたり、回覧板に入れても、自治会の加入率の低迷や印刷物を読む習慣が低下している現在では、やはりスマートフォン等から検索して知りたい人に情報が届くというのが簡単で便利であります。このようなものを進めていくということが住民サービスの向上につながると思いますので、展開をよろしくお願いします。  最初のインクルーシブのほうの返答をお願いします。  (「議長」と呼ぶ者あり) ◎教育長(日比野安平君) 3点御質問されましたので、お答えいたします。  入学後につきましても、特別支援学級や、あるいは取り出しである時間だけその教室に来ていただいたりとか、あるいは人数にもよりますので、幾つかの学校からこの学校へ来ていただいたりというようなこと、あるいは今は言葉の教室などがそうなんですけれども、そういう場所を設けてやっておりますが、指導する側につきましても全体的な研修と、それから専門家研修のようなものもありますので、それを積極的に取り入れてやっておるところでございますが、例えば今申し上げました中の、片仮名で恐縮でしたが、ユニバーサルデザインというのは、障がいを持った人にとってはこういう指導方法がなくてはならないと。私は特別支援学校に勤めておりましたので、例えば聴覚障害の学校も音楽の授業があるんですよね。耳の聞こえない学校の音楽の授業と思われるかもしれませんが、そこでは空気の振動や床の振動を使う打楽器などになるんですね。そういうものを工夫してやりますと、これを一般学級へ持ってきたとしても、そういう音楽があるかというようなことがわかるわけですが、障がい者にとっては振動による、リズムによる音楽教育なんですが、それは広い意味の音楽の中の一部で、耳の聞こえる人にとっても非常に、そういう分野があって、そういう扱い方があるということを知るということはとても意味があることなんですが、それを実はユニバーサルデザインと言っておりまして、全体研修を一昨年の8月にも全地区の教員を集めてやりましたが、視覚から入ったほうがわかりやすい子供、聴覚から入ったほうがわかりやすい子供、体験から入ったほうがわかりやすい子供、これを3つに分けて、大変具体的な、いい講師が説明してくれまして、今現在ではこの地区では大変多く活用してやっておりますが、そういうことで代表されるような研修に努めております。  それから、やはり議員御指摘のとおり、保護者の方と我々との間の行き違いというのはどうしても出てまいります。これは、最終的には保護者が決めることになりますから、そのように言ってもらっておりますけれども、我々としては、この子にとって何が一番いいかということを中心に、専門家を交えてやっております。  私のように特別支援学校に勤めておった者の立場からしますと、特別支援学校では、自分たちはこの障がいに関しては専門家集団だと思って、日夜本当によく勉強して驚くほどやっておる人がおるんですが、ぜひ使ってもらいたいと思うときがあるんですね。だけど、とは言うものの、無理して来てもらうようなものではない。私が勤めていた十何年前は、ぜひ来てほしいと言ってかなり勧誘をしました。こんなことができます、こんなことができますとやったんですけど、今は法改正がありまして、最後は親が決めるんだと。いつも、実は基本的にはそうなんですけれども、それを明文化して、話し合った上で最後は保護者の方が決めていくんですよというふうに、より強調されてきたのかなあと思っておりますけれども、そういうふうな状況にあって、ギャップはなしとは言えません。それはお互いに話し合ってやりますし、そこに入ったからといってずっとおるわけではありませんので、障がいが改善されたり、出たり入ったりも、現在美濃加茂市でもやっています。  それから施設ですね。今、シャワーのことがございましたが、これはユニバーサルデザインで申しましたように、研修で生かしたことについて、こんなことが課題であった、問題であったと。しかも、学ぶ子供にとってよかれと思ってやったことがそうではないという専門家の指摘もございまして、相当教室のありようが変わってきたと思っております。これは、教育委員さんたちがじかに毎年行っていただいておりますから、驚いておられるぐらいに変わってきておりますので、そういう受け入れ体制についても研修を生かしながらやっておるというところでございます。以上です。  (「議長」と呼ぶ者あり) ◆9番(金井文敏君) ありがとうございました。  何よりも児童・生徒がインクルーシブ教育の中で、「みんな違って、みんないい」、その差異との共生力が養われます。  ことしもまた新1年生、その保護者が期待に胸を膨らませて入学されています。教育委員会、就学指導の相談の先生方には大変お世話になりますが、今後ともよろしくお願い申し上げて、質問を終わります。ありがとうございました。